山であったらこんにちは
趣味……と言えるほどの頻度ではないが、山に登るのが好きだ。目的地を目指して愚直に、足を動かし続ける、そんな行為になぜ魅せられるのか。
それは、もしかすると山林が包摂する懐の深さかもしれない。
人工的な街中には幾つもの場所がある。だが山は、自然そのものがコミュニティなのだ。熊や鹿の家にコソコソとお邪魔させてもらうイメージだろうか。
何故だろうか、山では疎外感を感じない。すれ違う人とは恐らく二度と会わないし、会っても気づかないのに。
こんにちは───という挨拶だけで一瞬だけ人生がそれらの不特定多数と交錯するのだ。こんな場所は殆どないだろう。